ナスカの地上絵上空で、「確率論」を考える
南米最大のがっかりスポットとして有名なナスカの地上絵。
消えかけていてよく見えない。
セスナが揺れるので、飛行機酔いして地上絵見るどころじゃない。
なんて事が言われているのですが、元格闘家須藤元気の背中にナスカの地上絵が描かれているのだから、私が本物を見に行かないわけにはいけません。(自分でも全く理屈が通っていないと思います)
クリスマスを過ごした砂漠の街からバスで2時間。
ナスカの街の旅行会社でフライトを申し込み、セスナ専用のちっぽけな飛行場に行くと、「世界ふしぎ発見」的な、日本語の番組が流れていました。
こんなところまで影響力を持つ、ジャパンマネーの底力もスゴイですが、画面に映っているおねえさんの様に、木のハケでひたすら砂をどかして地上絵を書いた人たちもスゴイです。っていうか、アホです。
さて、フライト。
セスナ機は4人乗り。もりぞおさんは運転手の隣です。
飛んだー。
ナスカの地上絵は、ナスカの街の近くに広がる広大な砂漠に描かれています。
描かれているのは地上絵だけかと思いきや、自然が描いたランダムな模様や、人間が描いたと思われるまっすぐな線などが見え、その中にたまに「絵」があるのです。
サルだー。
そんな地上絵。
古代の文明と須藤元気に思いを馳せたいのですが、恐いのです。。。。
もう、数え切れないくらい飛行機に乗っており、
「あんな思いモノが飛ぶわけがない。飛行機には絶対乗りたくない」なんてのたまう奴らには、
「飛行機の事故率は1/十万。自家用車に乗ることや、みちぱたを歩く方がずっと危ない」なんて言ってやるのですが。。。
普段、巨大な飛行機で、操縦席から遠く離れた場所で、外とは分厚い壁で仕切られた場所でくつろいでいるのと違い、
操縦席の横に乗り、ハンドルをひねると機体が旋回する様を見たり、
気流が乱れて機体がガタガタガタと揺れたり、
それに対応するため、パイロットがハンドルや計器を必死で操作する様を見ると、
「飛行機が墜落する確率は1/十万だけど、実際問題このパイロットがミスしたら墜ちる」
という現実に気づいてしまいます。
確率1/十万という数字を見るのは簡単だけど、その数字の裏には、
パイロットの経験から導き出される精密な操縦と、
その操縦を的確に動力に結びつける機体の正確な動作と、
動力を常に生み続ける、機械の持続的な動作
これらがきちんと作動し続けることが前提となっているわけです。
ま、この前提が崩れる確率が、1/十万なわけですが、私が血迷ってパイロットに首締め強盗を仕掛けたら100%墜落するわけで・・・1/十万も、実は危ない橋を渡っているんだな・・・と言うことに気づいてしまい、恐くて仕方がないのです。
ああ・・・きっと、アメリカのウォール街で働いていたエリートも、サブプライムローンを含んだ債権のリスクを、ジャンボジェットの中にいるような感覚で、確率論で処理をしていたんだろうな・・・と思います。
実際、中小企業の社長になって、資金繰りが厳しく、明日の3時までに100万円返さないと倒産・・・なのに、取引先が不渡り出してマジデオワタ!
みたいなギリギリの橋を渡ったことのない、MBA持ちのエリートの感覚が、金融の異常な膨張と急激な破裂を生んだのではないか。。。。
などと、結果論で考えていたら、須藤元気の背中に描いてあるモノが見えてきました。
巨大な平地全体にでかでかとかかれているわけではなく、大きめの落書き程度に地味に描かれているこの地上絵を、がっかりだという気持ちはとてもよく分るのですが、それ以前に飛行機が恐いので、
「時々自分の胸に手を当てて、調子に乗っていると思ったら、「1/十万の事故率なのに現場で感じたこの怖さ」を思い出すことにするから、お願いだから無事に着陸してくれ」と、天に手を合わせるのでした。
ま、飛行機は、後ろの席で「トレビアーン」と脳天気にはしゃぐフランス人カップルの言葉通り、全く危なげなく、すうっと飛行場に着陸したわけですが。
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